昨日の続きです。
木村孝先生のお話しの中で、特に印象に残ったことを挙げていきます。
以下の4つについて、具体的に記述していきます。
・これから新年に向かって
・着物の時に気をつけていただきたいこと
・好きなことを極めること
・着物のこれから
私のフィルターを通しています。
表現などの微妙なニュアンスが違うことをご了承くださいませ。
先生のおっしゃったことは「」カギカッコでくくっています。
これから新年に向かって
11月ということもあり、年末の過ごし方や、新年の心持ちなどをお話しされていました。
「新年は、必ずなにか新しいものを身に着けること。」
なにも着物や帯である必要はありません。
「肌着や伊達締め、紐一本でも新年のために新しく卸す。
それだけで心がウキウキしてくる、その心のときめきが大事なんだ。」と。
本当にその通りですよね。
どんなものでも、新しいものは心躍ります。
気づけば薄く透けるようになったユニクロさんのヒートテック、来年は新調しようかな。。
新しいものは暖かいですよね。昔の人の知恵なのかもしれません。
あっ、「足袋と半襟は、必ず新しくて真っ白なものを」とおっしゃっていました。
着物の時に気をつけていただきたいこと
「稀に、右前と左前を間違えて着付けしまう方がいらっしゃるが、これだけは間違えないように。」とのこと。
鏡を見ていると、アレ?と一瞬わからなくなることがあります。
左前は、必ず誰もが着ることになりますが、その機会は死ぬまでとっておきましょう。
=死者は左前です。
「右手でつまを持つようにすれば間違いありません。」
つまとは、着物をラップスカートに例えるとスリットの部分のことです。
右手でつまを軽く持ちながら歩くと、裾が広がりませんね。
「ちなみに『左つまをとる』とは、芸者になってお座敷に出ることの意味です。」
どんなに荷物があっても、高い段差があっても、芸者さんでなければ左手で右のつまをもつのはやめましょう。
好きなことを極めること
先生は御年95歳。
とてもお若くてハツラツとしていらっしゃいました。
「着物が好きで、好きなことに集中しているから、元気でいられる。」とおっしゃっていました。
着物は一生楽しむことができます。
「たとえ、60歳から着物を始めても、あと35年もあるのよ」という言葉が印象的でした。
先生のように、歳を重ねていけたら。
好きなものは人それぞれだと思います。たとえ着物でなくても、何か夢中で打ち込めることに出会えたら幸せですね。
余談ですが、エスコート役として、20代のイケメン外国人がそばに付いていました。(イベント主催者側が用意したのでしょう)
壇上に上がるときは彼が手を差し伸べるのですが、
「この歳になると、年上の男性がいないのよ。ふふふ。」
確かに。いらしても、先生のエスコートは難しいかも。
着物のこれから
「衣服は、時代の変化とともに変わるもの。時代の変化に寛容になるべき。」
この、着物に対する先生の寛容さは、着物に対する愛なのだと思いました。
「今後、時間の短縮や手間を考えると、つけ帯などが主流になるかもしれません。」ともおっしゃっていました。
もともと、ご主人のお仕事の関係で、ロンドンに駐在していた経験を持つ先生。
ロンドンで洋服の勉強もされたそうです。
そんな幅広い経験と知識で語る、着物のあれこれのお話は本当に興味深いものでした。
「着物の文化は必ず残ります。世界にますます注目されることでしょう。」
もしかしたら、着物の形は変化していくかもしれません。
見たことのない色や柄の着物が現れたり、アボカドを巻いたお寿司「カリフォルニアロール」のように
外国発祥のキモノが出てくるかもしれません。
その変化に、寛容でありたい。
伝統ももちろん大事です。
しかし、歴史の保存ではなく、文化の継承こそ、着物の生きる道なのではないでしょうか。
着物の成長、一緒に見届けたいと思います。
木村孝先生。為になるお話をありがとうございました。
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